産後のむくみの原因は?

授乳期のむくみ

授乳期のむくみの原因には、「水分過多(水分貯留)」「血行悪化」などが挙げられます。これらは平常時のむくみと共通していますが、さらにそのメカニズムを辿ると、出産後・授乳期ならではの生活や身体の変化が関係してくることが分かります。

 

 

 

一般に、むくみを引き起こす水分過多は、塩分やアルコールの摂り過ぎによって起こります。
授乳期はそれに加えて、下記のことが水分過多のきっかけとなりえます。

 

水分バランスの乱れ

 

水分のイラスト01

 

妊娠時は平常時に比べ、体内の水分量が増加しています。しかしその余分な水分は出産に伴う出血や羊水の排出によって、一度に失われます。身体は水分量が多い状態で安定していたため、急激に大量の水分が失われてしまうと、体は水分バランスが乱れたと認識してしまいます。
身体には恒常性機能といって、体温や体液濃度などを一定に保つ機能が備わっているため、出産後は水分バランスが乱れた身体を元に戻そうと、身体が必要以上に水分を溜め込もうとしてしまうのです。

 

水分需要の増加

 

水分のイラスト02

 

授乳期は母乳を作り出す必要があるので、平常時よりも多くの水分を必要とします。そのため身体は水分を取り込み、保持する方向にはたらきます。

 

 

 

 

また、授乳期の血行悪化は、とくに以下のような生活習慣を原因とします。

 

 

立ち仕事の増加

 

立ち仕事のイラスト

 

赤ちゃんをあやしたり、授乳をしたりと、授乳期は立位や座位をとることが多くなります。そのため下半身に血液が集まり、血行悪化の原因となります。

 

自律神経の乱れ

 

自律神経の乱れのイラスト

 

授乳期は慣れない育児や急激な身体の変化に感じるストレス、睡眠不足等、自律神経が乱れる要因が多々あります。血流を司る自律神経が乱れることは血行悪化の引き金となるため、これらの習慣は身体にとって決して良いものではありません。

 

 

 

このように授乳期には、「水分過多」と「血行不良」が起こりやすい(=むくみやすい)身体の条件がととのっています。つまり授乳期のむくみは、妊娠期と同様、自然な身体な反応であるといえます。そのため数か月程度で症状は治まり、卒乳の頃には自然と治ることがほとんどです。
但し、重度のむくみを発症している場合や、むくみ以外の症状を併発している場合、妊娠時に妊娠高血圧症と診断された人は注意が必要です。これらに当てはまる人は医師に相談し、判断を仰ぎましょう。

 

授乳期に起きるむくみはどのように解消するのか

 

前章で、授乳期におけるむくみの原因として「水分過多」と「血行不良」を挙げました。
そのため根本的な根本的な解決策としては、「余分な水分を排泄する」「血行を良くする」ことが必要になります。

 

利尿作用のある栄養素をとる

 

カリウムのイラスト

 

利尿作用のある栄養素として知られているカリウムですが、授乳期に摂取目安量が平常時の約1.2倍に増加する栄養素でもあります。
カリウムは野菜や果物に多く含まれる栄養素です。むくみの有無に限らず、授乳期は意識的に塩分摂取を制限する必要がありますが(理由は後述)、野菜や果物は味付けせずそのまま食べられるものが多いため、カリウムは必要量が増えても摂りやすい栄養素と言えるでしょう。

 

規則正しい生活を送る

 

女性が寝ている写真

 

血液の流れを司る自律神経は不規則な生活習慣(睡眠時間、食事頻度・内容、ストレス等)によっても乱されます。規則正しい生活を送ることは、自律神経の乱れを防ぎ、正常に働かせるのに非常に重要です。
授乳期は睡眠や食事をゆっくりとるのはなかなか難しいかもしれませんが、自律神経の乱れはむくみ以外にも様々な不調の引き金となりえます。配偶者や親等に協力をお願いして、仮眠や食事をとったり、リフレッシュしたりする時間を確保できると良いですね。

 

下半身を使った運動

 

ウォーキングの写真

 

身体の中の水分(血液)は重力に従い、下半身に集まります。これを上半身に送り返すのがふくらはぎの筋肉の役目。ウォーキング等でふくらはぎの筋肉を鍛え、血液の流れを助けます。

 

 

これに加え、普段の生活で以下の点に注意することで、むくみの症状の深刻化の予防に繋がります。
まずは下記の表をご覧ください。

 

エネルギー(kcal/日) 推定エネルギー必要量
+350
栄養素 推奨量
タンパク質(g/日) +20
ビタミンA(μgRAE/日) +450
ビタミン C (mg/日) +45
葉酸(μg/日) +100
ナトリウム(mg/日)
鉄(mg/日) +2.5

こちらは厚生労働省より日本人の食事摂取基準(2015年版)<妊婦・授乳婦>をもとに作成したもので、
妊娠前と比べて余分に摂取すべきと考えられるいくつかの栄養素の付加量(推奨量)です。

 

この表から分かることは大きく分けて2点あります。

1 塩分の過剰摂取を避ける

 

授乳期は妊娠中と同様に、一部の栄養素を除き、ほぼすべての栄養素の必要量が増加します。とくにエネルギー(カロリー)の必要量は男性並みになるほどです。一方で塩分摂取量(ナトリウム)の上限は増えないため、単純に食事量を増やすと、相対的にNa(≒塩分)過多となるため、これまでの味付けより薄味にする等、塩分制限をする必要があります。
どうしても薄味が苦手で必要な栄養素を摂りきれない人は、不足分をサプリメントで補いましょう。但し、サプリメントは授乳期にも飲用できるものを選ぶようにしてくださいね。

 

2 鉄分など造血に関わる栄養素をしっかり摂る

 

授乳期は妊娠期ほどではありませんが、やはり平常時より多くの鉄分が必要になります。鉄分不足や貧血は血流の悪化を招くので、意識して摂取するよう心がけましょう。

 

また、前述したようにむくみは授乳期における自然な身体の反応です。ただでさえストレスが多い授乳期。放っておいても問題ないことでしたら、考えないようにするというのも一つの方法です。元々むくみやすい体質でなく、症状も軽度であれば、「時間が解決する」と鷹揚に構えても問題ないでしょう。

 

授乳期のむくみ解消にやってはいけないこと

 

水分摂取の写真

 

体内の水分量が多いと聞くと、これ以上むくみを重症化させないために水分を控えようとするかもしれませんが、これはむくみ解消どころか悪化の原因となりかねません。なぜなら、授乳期の身体は水分が不足していると感じるからこそ、水分を溜め込もうとするのです。それなのに水分を控えてしまうと、水分が不足していることに加え、供給も少ないということで、一層水分を身体に保持しようと働きかけてしまいます。

 

必要以上の水分補給は悪手ですが、控えすぎもまた身体にとって悪影響となるのです。1日の水分摂取量としては、一般的な成人女性の推奨摂取量は2000〜2500mlに、母乳として消費される水分量600〜800mlを加えた3000ml程度となります。水分摂取は食事(800ml程度)や代謝(300ml程度)によっても得られるため、飲料から摂取するのは2000ml程度を目安とすると良いでしょう。


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